メンバー詳細

未来づくりグループ

筆頭副理事長  伊藤 昭

新型コロナウイルスと共存する「ウィズコロナ」の時代が始まった新現代の黎明期を迎える2021年、この状況下では“感染に気を付けて生きていくのは当たり前”という社会が日常化される流れは加速していくだろう。そして、次に訪れるであろう「アフターコロナ」の時代では、新しい生活様式を元とした新しいルールのもと、コロナショック以前の世の中とは全く異なる世の中に変容していくはずである。新技術の発展に伴い徐々に訪れてくるであろうと思われた社会の様々な変化が、この機に加速度的に進もうとしている。人類が経験したことのない速度感で、世の中がまさに変革をしようとしている。今こそ我々は、このスピード感に触れ、肌で感じながらアフターコロナの時代を見据えて適応し、青年会議所活動の可能性を発露するときなのだ。

「歴史は繰り返される」とよく言われるが、繰り返される歴史の中で今を生きる我々は何をすべきなのだろうか。それは先達の歴年の尊い軌跡に触れることから始まるのである。その残された記録や記憶、そして知恵こそが今を生きるヒントとなり未来への希望となる。だからこそ、我々は先達に敬意を表しつつ、感謝を伝えることのできるつながりを大切にしなければならない。そこで『未来づくりグループ』では、本年の豊橋青年会議所創立70周年という節目に際し、先達や先輩とのつながりはもとより、市民協働による文化的価値の創造や地域経済の振興を色濃く体験できるまたとない好機を、豊橋青年会議所の財産として自己を錬磨していく。

1951年、戦後間もない荒廃の中、日本経済の正しい発展と世界平和の実現にいささかなりとも寄与する処あらんと企図し、志高き青年たちの手によって豊橋青年会議所は産声を上げ、本年度創立70周年を迎えることとなる。70年という月日をかけて連綿と受け継がれてきた想いの伝承こそが、我々の運動を推し進める原動力となることは言うまでもないであろう。また、70周年という節目に視点を当てることで、これまでの10年間の活動を振り返り検証を行う時期と捉えることができる。「2010年代運動指針」というグランドビジョンをもとに、一年一年積み重ねられる時流を読みつつ、毎年舵取りを行って到達した接岸点こそが本年なのである。この10年間には未曽有の天災やテクノロジーの飛躍的な発展、新型コロナウイルスの蔓延と10年前には全く予想もできない経過を辿っている。だが、2020年代に向けた離岸をどのように設定すればよいのかは、10年間の事実から検証を行い考察することから初めて導き出せるのである。物事の是非は決断したときに決まるものではなく、評価が定まるのは常に後世になってからである。混沌とした未来を見据えなお「こうありたい」と願う地域社会や市民の在り方を、そして青年会議所が果たすべき使命が何であるのかを、活動の羅針盤に据えて、新たな時代の幕開けとなる創立70周年という節目を最大限の感謝と意欲を持って活動を行う。

新しい生活様式の定着が進み3密を避けることが当たり前の社会において、ソーシャルディスタンスを守ることが様々な場所に広がり、カフェやオフィスでもパーソナルなスペースをいかに確保するのかが急務となっている。これは都会の求心力が失われることを意味しており、地勢としての潜在価値はどの地域にも負けない東三河地域にとってまたとない好機をもたらすものである。さらに、地域の人々が先達から連綿と受け継いできた伝統に付加価値を加え、祭礼を中心とした地域のコミュニティを形成しているのもこの地域の特性である。そしてそれは“町内”という地域の意思決定に一役かっている事実があり、人と人との繋がりこそが尊いものである事実を示しているのである。これは何も地域の祭礼に限ったことではなく、地域の災害対策や防災活動を初め、まちの安全にも直結しているのである。しかし、少子高齢化という社会構造の変化に合わせて、核家族化という生活形態の変化は、多くのコミュニティにおける伝統の継承や文化の継続に困難を生じさせている。それに加えて新たな生活様式の定着が必要となった今、人々がつながりを如何にして創造していくのかが課題なのである。その本質は「人と会う」ことの意味がいちいち問われる世の中が到来する可能性に連動している。だからこそ、我々は市民の前向きな意識変革を促すことで新たなコミュニティの在り方を創造し、アフターコロナの世の中における人のつながりを、今こそ構想するのである。その東三河の価値を高める可能性は近年の凄まじいテクノロジーの発展なのかもしれない。しかし肝要なことは、デジタルのできることはデジタルでやる、そして人間にしかできないことは人間がやるという大原則である。このテクノロジーという流れに押し流されるのではなく時代を先取りし、人間にしかできない新たな可能性を創造することで、東三河に訪れる時代の流れを切り拓いていこう。

いつ収束するのか分からない新型コロナウイルスに起因する不安からの解放こそが市民の望むことであり、市民意識変革団体としての側面を持つ我々青年会議所の活動の展開こそが、いま社会に求められている。だからこそ、我々青年会議所メンバーは、時代の潮流に乗ることはもとより、次代を担うリーダーとして、責任世代のリーダーとして、未来を俯瞰的に見据える高い視座と、混沌とする未知なる可能性を切り拓くために必要な「創造力」を養わなければならないのだ。そして、その成果として、市民の意識をポジティブチェンジさせ、市民の明るさを取り戻さなければならない。それこそが我々豊橋青年会議所の使命なのだから。