■2015年度  理事長所信

One by One
~ 一つ一つの力を大きな輝きへ ~

           理事長所信

理事長    宮川 嘉隆




青年会議所の価値とはなんでしょうか。我々が活動する意義とはなんでしょうか。

 「戦後」の高度経済成長により日本は世界第2位のGNPを誇る経済大国となることが出来ました。物質的に豊かになった我々日本人は、バブルの崩壊後、失われた20年という経済面での低迷期を過ごし、さらに東日本大震災を経験したことにより、現在「災後」という新たな時代の中を生きています。物質的な豊かさを追い求め、他との協調よりも自らのことを優先する利己主義から脱却し、日本人としてのあるべき姿を模索し、物質面の豊かさだけではない自らの求める本当の豊かさと行動について考えるようになってきています。

 アベノミクス効果による経済環境の向上、東日本大震災からの復興への取り組み、東京オリンピックの招致が決まるなど社会全体としては明るい兆しが見えてきました。しかし、日本全体を見渡せば、その恩恵が一部の地域と企業に留まり、苦労している多くの地域、企業があることも事実であります。

 人口減少時代という新たな局面に入りつつある中、いまだ数多くの問題を抱えている今は、まさに日本経済の正しき展開と世界平和に寄与せんと青年会議所が設立された当時に通じるものがあると考えます。設立当初とは時代は変わり、状況は変化していても我々青年会議所としてやるべきことは変わりません。それはその時代に合わせた活動について考え、自らの意識と周囲の意識を変革し、行動によってこの国の地域を明るい豊かな社会へ導くことであり、将来にわたって社会の発展に貢献し、まちに活力を与えることができる人材の育成であると考えます。そして一人ひとりの成長を地域の成長につなげていかなければなりません。

 豊橋青年会議所もまちのため、地域のための活動に団体として全力で取り組んできました。今後さらに団体としての価値を高め、充実したものとするには、これまでの活動を検証し、さらなる向上を目指していかなければなりません。その為にはより良い組織の在り方を考えると共に、個の力を磨き上げ、一人ひとりが活力と責任をもった活動を行い、自らに何ができるのかを考え、積極的に自らの責任を果たし、それぞれの力が集まり協力する団体として魅力を向上させることが大切です。

 地域に存在する一つ一つの力が織りなす、多彩な価値観が存在する活気あるまちに向けて、時代と共に変化していかなければならないからこそ、常に原点を忘れず、先人たちにより脈々と受け継がれてきた情熱と意気をもって、地域の発展のために、輝かしい未来のために、持てる力を一つ一つ結集させ、英知と勇気と情熱をもって活気のある活動をしてまいります。

市民権の推進について
 日本は明治以降、地方から中央へヒト、モノ、カネ、情報を集中し、再配分する中央集権によって繁栄をしてきました。しかし現在、平成の大合併を経て道州制を視野に入れた地方分権、さらにより地域が主体性を持つ地域主権社会にむけ、国の権限を移譲する動きが活発になってきています。国による画一的な地方行政から、地域の特色を生かした独自の政策を行う時代へと変化してきており、地域が生き残り輝いていくためには、市民が自らの地域の特徴や魅力を理解して行政と一体となった発信を行う必要があると考えます。
 これまでも公開討論会の実施や将来を担う若者たちに対して市民主権の意識啓発に向けて取り組んでまいりました。さらに、市民が現在・未来に対しての意識、行政の取り組みに対する関心を高めると共に、まちの未来について自らが選択と行動をする、自分自身がまちの将来を作り上げるまちづくりの担い手であるという意識の醸成に取り組んでまいります。

東三河としての発展について
 これまで豊橋青年会議所は「東三河はひとつ」という言葉を合言葉に、東三河という地域の活性化、並びに発展のために活動をしてきました。この東三河という地域は、豊川流域圏を中心とした海・山・川・湖と全ての自然環境があり、温和で住みやすい地域であります。さらには、農業・工業・商業・と全てにおいてバランスよく存在しているポテンシャルの高い恵まれた地域であります。さらに、東三河県庁をはじめとする行政面においては、地域を一つとした今後の発展の仕方について協議を積み重ね、8市町村においては広域連合を設立し、新たな形での発展の仕方を模索しています。さまざまな立ち位置による多くの人々が地域発展を検討している中、我々青年だからこそ思い描く東三河の未来を見据えたビジョンを掲げ、東三河という地域の発展に向かって検討し取り組んでまいります。そして、その発信を東三河の青年会議所全てが協力をして行ってきた集大成として穂の国コンファレンスで行うと共に未来の行動について検討してまいります。

地域企業の活力を地域の発展につなげる
 地域と地域の経済が活性化するためには、地域で活躍する企業の増加・発展が欠かせません。しかし、大きく環境が変化している現代においては、市場の要求やニーズは多様化し、その変化のスピードは増すばかりであり、企業はその変化に柔軟に対応して継続的に価値の提供をしなければ、淘汰の波にさらされてしまいます。このような時代の中で生き残り発展していくためには、あらゆる面でクオリティの向上が求められています。中でも、企業のリーダーは経営の品質を高め、どのような価値を創造し提供するべきかを考え、それをどのように実行に移すべきかを常に検討していく必要があります。その上で企業は社会の一員であるという考えを忘れず、社会の価値と調和し、社会に貢献する、地域の発展につながる企業、経営者となる為にはなにをしていくのかを考、地域を牽引し、活力を与えることのできるリーダーの育成を行ってまいります。

輝く未来のまちを考える
 どんなまちにもそれぞれの歴史、伝統、文化、そして人があり、これらが織りなすそのまち独自の特徴があります。しかし、高度成長期における画一的な成長モデルによるまちづくりによって発展してきたものの、そのまちの個性を生かしたまちづくりを意識してこなかった結果、受け継ぐべきまちの特徴が置き去りになってしまい、輝きを失っていまったまちが多いのも事実ではないでしょうか。現在では、行政においても、地域にある多くのまちづくり団体においても個性を大切にしたまちづくりを目指して活動を行うようになり、まちとしての価値を高めるまちづくりに成功している事例が増えてきています。
 地域が豊かになり、将来世代も含め自分たちが幸せに生きていける輝いたまちであるためには、これまで以上に地域の個性を理解し、価値を高めると共に時代の変化にしなやかに対応していくことが大切だと考えます。まちを創るのは人です。このまちを想い、まちづくりやこのまちの将来を担うために率先して将来へのビジョンを示し、まちのために行動する地域人の育成を考え、地域のリーダーとして多くの人や団体と共に、誰もが自慢し、誰もが誇れる、まちと人がともに成長していく、輝く未来へつながるまちづくり運動に取り組んでまいります。

次世代を担う青少年育成についての取り組み
 現在の教育においては、学校におけるいじめや体罰の問題など、子供の安全に関わる幾つもの大きな課題に直面しています。また、子どもたちの学ぶ意欲の低下なども懸念されるとともに、社会の構造変化や環境の変化による家族や地域についての価値観の変化などが子どもの健やかな成長に影響を与えています。特に地域の教育力の低下については、経済社会の変化、人間関係や地縁的なつながりの希薄化などが要因として考えられ、社会全体で教育の向上に取り組まなければならないと考えます。
 我々青年会議所もこれまでも地域教育の一端を担い、次世代育成教育に取り組んでまいりました。未来に対して明るい希望をもてる、そんな輝いたまちであるためには、受け渡していくべき次世代の育成が重要となってきます。子どもたちが輝いている存在であればこそ、我々責任世代は希望をもってこのまちと共に生きていくことができます。変化の激しいこの時代に生きていく将来を担う今の子どもたちが、未来に対して活躍するためには、時代の変化に合わせて自ら学び、考え、行動する力が重要と考えます。そのうえで、日本人として、自分たちの住むこの地域と地域の特徴に誇りをもって成長していくことが大切だと考えます。子ども達が成長し大人になった時に、自分のふるさとに誇りを持って、笑顔で行動することができるような、このまちの未来を託せる次世代の子どもたちを育成することを目指します。

共に活動する仲間を増やす取り組み
 我々の考える運動を発信し、地域へ貢献していくためには共に活動をする仲間が大切になってきています。青年会議所しかない時代から青年会議所もある時代へと変化したといわれていますが、青年会議所だからこそできる活動があり、またその活動を通して成長をした諸先輩方や多くの仲間が地域へ貢献を果たしております。共に成長をし、社会に貢献できる人材として活動する仲間を増やすことが活力の源となります。活気ある活動を行うために協力をしてもらえる多くの仲間を募ってまいります。

LOMの活動向上に向けて
総務広報について
 豊橋青年会議所が公益社団法人格を取得し3年が過ぎようとしています。これまでの公益社団法人としての活動を検証し、より効果的でしっかりとした組織運営を行うことがLOMの活力向上につながっていくと考えます。中でも、最も重要なのは総会であります。会員の権利を行使する総会はLOMの最高意思決定機関であり、総会に対する理解を深め、積極的に参加することが組織の強化に繋がります。総会の価値を高め、青年会議所活動の活発化につなげてまいります。
 また、我々の活動が独りよがりのものであってはなりません。我々の活動を多くの人へ発信し、共感を得ることが大切となってきます。活動のPRと共に我々の存在と認識を高め、理解をしてもらえるように広報活動を行ってまいります。また、外への発信と共に一丸となった発信が行えるようにLOM内の情報共有化並びに情報伝達強化に努めてまいります。

会員交流について
 活動の発信力を高めていくためには、会員同士の結束力を高め、一丸となって行動をしていく必要があります。現在だけでなくLOMの過去・未来の活動に対して思いを馳せ、知識を高めると共に、活発に議論を行うことでLOMの活力を高め、現在、未来の活動に対してより積極的な行動をとれるように会員の交流強化を行ってまいります。
 あわせて、LOMを代表して活躍をしている者へのサポートを積極的に行ってまいります。LOMの外で活躍しているメンバーを支え、その経験を更なる活力の向上に繋げてまいります。

会員の資質開発について
 青年会議所活動の意義を高めるためには、所属している会員自身の資質の向上を常に行い、行動と成長によって企業や社会に対する信頼を深めていく必要があると考えます。自らが目的を明確にもち、やりがいと責任をもって活動する、未来のまちを担い、想いを形にできる人材として成長すると共に、人としての成長を自分だけに留めず、周りにも良い影響を与えられるような人材になることが地域のリーダーとして必要とされ、活動の価値を高めていくことに繋がるのです。将来にわたって地域に必要とされる団体、期待される団体となるように活力にあふれた魅力ある会員を育成してまいります。

結びに
 青年会議所活動は地域のため、社会のための活動であると考えます。しかし、そこにたどり着くためには先ず人がいなければ活動は行えません。ただ、人がいるのではなく地域のため他人のために活動しているという意識をもった人が集うからこそ社会に対しての意識変革を訴えることができるのだと思うのです。

 私はこの活動を通じて、多くの人と出会い、たくさんのことを学ばせて頂きました。しかし、それは自ら行動したからこそ得られたものであると思っています。自分が選択をし、行動をしたからこそ機会に恵まれ、様々な縁が生まれ、素晴らしい活動と成長をさせて頂いています。

 この活動を発展させ、次の時代へと継承していくためには、過去・現在・未来に対して思いを馳せ、これまで受け継がれてきた本質を理解、継承し、変わらない勇気と現在の活動に対して最良を求めて変わる勇気をもち、決断に自信をもって前に進んでいくことが大切だと考えます。なにより、社会に受け入れられ、継続して活動を行うには、自分の原点である社業を発展させ、家庭をきちんと大切にし、その上でJC活動を全力で行わなければなりません。それぞれに活動のための環境、状況は異なりますが、自分らしさを大切にし、自分には出来ないと思うのではなく、自分には出来ることがあり、自分の出来ることを精一杯努力する。変化を恐れず、周りとの繋がりを意識して活動すること。ほんの少しの勇気をだして一歩前にでることが自らの成長、そして地域の成長へと繋がると思うのです。自分だけではなく周りと共に成長し輝いていくことが自立と共生が調和する社会、明るく豊かな人と地域が輝いた未来へと繋がると信じて活動をしてまいりましょう。

 常に可能性は我々の目の前に広がっているのです。